2006年07月31日

マーラーの交響曲2番「復活」〜ブーレーズ/ウィーンフィル

【CDの購入理由】
 マーラーの交響曲第2番「復活」は私の大好きな曲の一つです.

 ブーレーズのマーラー演奏は以前から注目を集めており,そのブーレーズの最新録音で「復活」がリリースされるとなるとチェックしないわけには行きません.しかも,オケはあのウィーンフィル.

 ・ブーレーズのマーラーには注目が寄せられている
 ・最高のオケであるウィーンフィルとの共演
 ・この組み合わせによる「復活」の最新録音は大変興味深かった.

【CDレビュー】
 この曲は「復活」というテーマが感情移入しやすいテーマであることから,感情が表に出た激情型の演奏になる傾向があるようです.ほとばしるエネルギーで圧倒し,感動を与える名演が数多く存在しています.一方,ブーレーズという指揮者は緻密な分析に基づいた解釈で楽曲を構成する指揮者です.そんなブーレーズによる「復活」はこれまでに耳にしてきた激情型の演奏とは異なり,感情に任せた演奏ではなく,計算に則った演奏であると言えます.

 1〜3楽章は比較的早めのテンポ設定で進み,随所に独自のアゴーギクを入れているものの,意外と印象が強くなく,淡々とした感じがします.これは最後まで聴くとわかることですが,クライマックスをより壮大に感動的に聴かせるための複線としてプロローグ的な捕らえ方をしているのではないかと感じました.

 5楽章に入ると一転,大きくテンポが動き始めます.しかし,これも計算に基づいたものであり,決してその場の感情に任せたテンポの揺れではありません.歌い込むところはテンポを落としてじっくりと歌い込み,それ以外のところはテンポをキープしてあっさりと進行するということが徹底されています.この巧みなコントラストのつけ方によって聴き手の心は揺さぶられ,激情型の演奏よりむしろ情熱的にさえ感じます.

 また,激情型では終始,鳴りっぱなしになり,怒涛の如くクライマックスを迎えますが,この演奏では最後まで各セクションのバランスがしっかりコントロールされており,非常に美しい,圧巻のクライマックスを聴かせてくれます.

 これまで聴いた「復活」は感情の嵐のような激しい演奏がほとんどでしたが,感情のベールを取り払うとこんなにも美しい曲が隠れていたのかと,これまで持っていた「復活」へのイメージを一変させる一枚であると思います.

 この素晴らしい演奏において,ウィーンフィルのポテンシャルの高さは言うまでも無く,ウィーン楽友協会合唱団の合唱の美しさが際立っていたことを付け加えておきます.

【このCDの聴きどころ】
・ブーレーズの計算し尽くされた楽曲解釈
・テンポのコントラストによる,激情型より情熱的な演奏
・コントロールされた美しく,圧巻のクライマックス
・合唱の美しさ


マーラー:交響曲第2番マーラー:交響曲第2番
ブーレーズ(ピエール) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 マーラー

ユニバーサルクラシック 2006-04-26
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2005年12月29日

現代風の”英雄の生涯”〜ラトル/ベルリンの”英雄の生涯”

【このCDの購入理由】
 R.シュトラウスの交響詩と言えば,”英雄の生涯”をはじめとして,どれもドラマチックな楽曲ですが,金管楽器,特にホルンが大活躍する曲です.いまやベルリン・フィルのホルンセクションと言えば世界最強のホルンセクションであり,ホルン吹きの私として,”英雄の生涯”のリリースは今のベルリン・フィルで最も待ち望んでいたものでした.

【CDのレビュー】
 ラトル時代になってベルリン・フィルの最も変わった点として,サウンドがシャープになり,音楽が鮮明になったことがあげられます.カラヤン時代をはじめとして,かつてのベルリン・フィルは絢爛豪華なサウンドを聴かせてくれていましたが,悪く言えば,豪華さが鼻につくようなところがありました.ラトル時代に入ってから,特に最近の録音を聴く限りでは贅肉が取れたように各楽器の音がより鮮明になりましたね.もともと世界最高のオーケストラでしたが,さらに磨きがかかり輝きを増した,といったところでしょうか.

 さて,今回の”英雄の生涯”ですが,ラトルのこの曲へのアプローチは必要以上に歌い込まない,実に現代風の英雄のイメージになっており,時代に合わせた演奏と言えます.また,各楽章もタイトルそのままであり,英雄やその妻,敵といった登場人物,戦場の場面などのキャラクター付けが非常にはっきりしていて,大変わかりやすい演奏となっています.全体のサウンドのシャープさに加えて,各楽器が非常に良く鳴っていることもキャラクターを鮮明にし,音楽を分かり易くすることに一役買っているようです.

 さて,注目のホルンセクションですが,期待を裏切ることなく,その高いパフォーマンスを聴かせてくれています.英雄の冒頭のモチーフからすでに引き込まれますが,随所に現れる甘いソロに聴き惚れ,そして”英雄の戦場”,”英雄の業績”に見られる豪快なセクションサウンドに圧倒され,ホルン吹きにはたまらない至福のひと時です.

 ラトル時代の円熟期の到来を感じさせる一枚です.また,最強のホルンセクションを堪能できる,世のホルン吹き必聴の一枚です.

【このCDの聴きどころ】
・ラトル時代でシャープになったベルリン・フィル・サウンドの変革
・キャラクターのはっきりした現代風の”英雄の生涯”
・世界最強のホルンセクション



R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ラトル(サイモン) ラトル(サイモン) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

東芝EMI 2005-11-16
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2005年08月24日

キラキラ輝くカルミナ・ブラーナ〜ラトル/ベルリンのカルミナ・ブラーナ

【このCDの購入理由】
 NHKで放映されたジルベスターコンサートの様子を視聴したのがきっかけですが,カルミナ・ブラーナへのラトルのアプローチと,ベルリンの金管群のブリリアントなサウンドは十分興味をそそられる要素ですね.

【CDレビュー】
 オルフのカルミナ・ブラーナと言えば,大編成のオーケストラに独唱,児童合唱,混声合唱を加えた大曲です.曲の内容はどちらかというと重たい内容ですが,ラトルはこの曲をベルリン・フィルのジルベスター(大晦日)コンサートに採り上げ,ジルベスターというお祭りにふさわしく,実にキラキラと輝かしい演奏に仕上げています.このCDはそのライブ録音です.

 カルミナ・ブラーナは大曲であるが故に,重く,ベタッとした演奏や,ゴチャ混ぜでよく分からない演奏になりがちですが,ラトルのアプローチはキビキビとしていて切れ味のいい演奏です.

 この切れ味のいい曲作りのため音の分離が良く,各セクションの音がはっきり聞こえる透明度の高さが特徴です.そのため,ブラスセクションはより輝かしく,弦楽セクションは艶やかに,合唱は華やかに聴こえます.

 また,合唱とオーケストラが均等に聴こえるため,曲の透明度を上げています.

 オーケストラ,独唱,合唱のすべての要素が互いを邪魔せずに,自己主張しながら作り上げるクライマックスはオールスター選手の競演の如く,豪華絢爛なクライマックスです.派手な演奏が好きな方には打ってつけの演奏でしょう.

 この透明度の高い演奏,録音には少なからず,ホールのフィルハーモニーの音響が影響しているであろうことを付け加えておきます.

【このCDの聴きどころ!】
・ラトルのキビキビとして切れ味の良い曲作り
・各セクションの音切れの良さとキラキラとした輝かしい響き
・豪華絢爛なクライマックス


B0006M18VMオルフ:カルミナ・ブラーナ
ラトル(サイモン) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 オルフ

東芝EMI 2005-01-19
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2005年08月14日

”間”の支配者〜ヴァント/ベルリンのブルックナー交響曲第8番

【このCDの購入理由】
 ブルックナーの最高傑作である交響曲第8番は私の最も好きな曲の一つです.その曲をブルックナーの第一人者であるヴァントと世界最高のオーケスト,ベルリン・フィルで聴けるとあって,発売日を心待ちにして入手した記憶があります.

【CDレビュー】
 私が初めて聴いたブルックナーの交響曲第8番のCDは,ギュンター・ヴァント指揮による北ドイツ放送交響楽団(以降,NDR)の93年の録音でした.当時,このCDを聴いて,圧倒的なスケールの大きな演奏に感動しました.その後も様々なアーティストでこの曲を聴きましたが,ヴァント/NDRを超える感動は得られませんでした.

 恐らく,これを超える演奏はないだろうと思っていたところに出てきたのが,ヴァント指揮のベルリン・フィルによる演奏でした.

 最高のブルックナー指揮者,ヴァントと,最高のオーケストラ,ベルリンフィルの共演に胸をを躍らせて聴きましたが,予想をはるかに超える感動を与えてくれました.

 まず,特筆すべきは,ベルリン・フィルのシャープな演奏です.非常にキレのいい演奏が曲を引き締め,全体に厳しいまでの緊張感を与えています.特に弦楽セクションが秀逸で,極めてクリアーな音色です.この音色を聴いて,「ベルリンの弦ってこんなにキレイだったの?」と思ったほどです.これは,やはり,ヴァントという名指揮者でなくては引き出すことのできない,ベルリン・フィルの極限の能力でしょう.ヴァントは完璧主義者で,緻密で徹底したリハーサルを行うことで有名です.その緻密さで,普通ならば見落としてしまうようなベルリン・フィルの僅かな”贅肉”をそぎ落としていった結果,このようなシャープな演奏が可能になったのではないでしょうか.

 ヴァントのブルックナーの8番へのアプローチは93年のNDRの録音で,すでに完成の域に達していたと感じられます.事実,このベルリン・フィルとNDRとの録音を聴き比べても,曲の進行ははほぼ同じです.しかし,両者は”間”の取り方が決定的に異なります.ベルリン・フィルとの録音は,フレーズの区切りや休止から次のフレーズの入るまでのタメが絶妙です.それはまるで,木の葉に雨粒がたまって,最後にしずくとなって流れ落ちる時のようなイメージで,自然な流れではあるが非常にタメが長く,息苦しさすら感じます.この絶妙な”間”のコントロールは,ヴァントの緻密な要求に完璧に追従できるほどの高い能力を持ったオーケストラが無くては成り立ちません.つまり,ベルリン・フィルという最高のオーケストラあってこそなのです.

 「最も感動したCDは何ですか?」と聴かれたら,間違いなく,このヴァント/ベルリン・フィルのブルックナーの8番と答えます.ブルックナー,ヴァントのファンならずとも,クラシック音楽ファン必聴の一枚でしょう.

【このCDの聴きどころ!】
 ・弦楽セクションのシャープでクリアな響き
 ・4楽章の各フレーズ,フレーズ間の絶妙な”間”


B00005ONV4ブルックナー:交響曲第8番
ヴァント(ギュンター) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ブルックナー

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 余談ですが,近々,ヴァント/ベルリン・フィルのブルックナー交響曲選集が発売されます.単品購入より値段が張りますが,特典DVDがつきますので,この際,ヴァントとベルリン・フィルによるブルックナーの演奏を一気に集めたいという方にはお勧めです.
B0009S8ERYブルックナー:交響曲選集1996-2001
ヴァント(ギュンター) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ブルックナー

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