2005年12月29日

現代風の”英雄の生涯”〜ラトル/ベルリンの”英雄の生涯”

【このCDの購入理由】
 R.シュトラウスの交響詩と言えば,”英雄の生涯”をはじめとして,どれもドラマチックな楽曲ですが,金管楽器,特にホルンが大活躍する曲です.いまやベルリン・フィルのホルンセクションと言えば世界最強のホルンセクションであり,ホルン吹きの私として,”英雄の生涯”のリリースは今のベルリン・フィルで最も待ち望んでいたものでした.

【CDのレビュー】
 ラトル時代になってベルリン・フィルの最も変わった点として,サウンドがシャープになり,音楽が鮮明になったことがあげられます.カラヤン時代をはじめとして,かつてのベルリン・フィルは絢爛豪華なサウンドを聴かせてくれていましたが,悪く言えば,豪華さが鼻につくようなところがありました.ラトル時代に入ってから,特に最近の録音を聴く限りでは贅肉が取れたように各楽器の音がより鮮明になりましたね.もともと世界最高のオーケストラでしたが,さらに磨きがかかり輝きを増した,といったところでしょうか.

 さて,今回の”英雄の生涯”ですが,ラトルのこの曲へのアプローチは必要以上に歌い込まない,実に現代風の英雄のイメージになっており,時代に合わせた演奏と言えます.また,各楽章もタイトルそのままであり,英雄やその妻,敵といった登場人物,戦場の場面などのキャラクター付けが非常にはっきりしていて,大変わかりやすい演奏となっています.全体のサウンドのシャープさに加えて,各楽器が非常に良く鳴っていることもキャラクターを鮮明にし,音楽を分かり易くすることに一役買っているようです.

 さて,注目のホルンセクションですが,期待を裏切ることなく,その高いパフォーマンスを聴かせてくれています.英雄の冒頭のモチーフからすでに引き込まれますが,随所に現れる甘いソロに聴き惚れ,そして”英雄の戦場”,”英雄の業績”に見られる豪快なセクションサウンドに圧倒され,ホルン吹きにはたまらない至福のひと時です.

 ラトル時代の円熟期の到来を感じさせる一枚です.また,最強のホルンセクションを堪能できる,世のホルン吹き必聴の一枚です.

【このCDの聴きどころ】
・ラトル時代でシャープになったベルリン・フィル・サウンドの変革
・キャラクターのはっきりした現代風の”英雄の生涯”
・世界最強のホルンセクション



R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ラトル(サイモン) ラトル(サイモン) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

東芝EMI 2005-11-16
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posted by ぶちねこ at 21:19| Comment(0) | TrackBack(1) | クラシックのお奨めCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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