2005年10月30日

プロフェッショナルの集中力〜大阪市音楽団の「宇宙の音楽」

 大阪市音楽団が今年6月にスパークの”宇宙の音楽”の吹奏楽版を世界初演した際のライブ録音がCD化されました.この演奏会,大変な反響を呼び,私もCD化を心待ちにしていたものです.では,早速,レビューしていきましょう.

【アーティスト紹介】
 大阪市音楽団は言わずと知れたプロの吹奏楽団です.近年,積極的にCDをリリースしており,本サイトでも紹介した”アルプスの詩”などの演奏会のライブ録音はいずれも高い評価を受けています.

【このCDの購入理由】
・スパークの”宇宙の音楽”の吹奏楽版世界初演であり,その演奏の素晴らしさが反響を呼んでいた.
・カップリングに”ミス・サイゴン”はプロによる初の録音であり,そのアプローチが注目される.

【CDレビュー】
 まず,このCD一曲目を聴いた瞬間から”ピン”と張り詰めた緊張感が漂っており,この緊張感はこのCDの全曲に渡って感じられます.この手のライブ録音盤は,どこかで集中力が途切れる瞬間があるもので,そう言った”粗さ”もライブ録音盤の”味”の一つではありますが,このCDにはそういった箇所が一つもありません.大阪市音楽団がこの演奏会に臨んだ集中力がいかに高かったかを物語っており,そう言った演奏をCDとして手にできることを幸せに思います.

 世界初演という重責もあってか,”宇宙の音楽”ではさらに集中力が高まっていることが感じとれます.冒頭のホルンのソロは,プロでも緊張する場面ですが,見事に歌い上げ,圧巻の演奏です.このホルンのソロだけでも一聴の価値ありです.

 ”宇宙の音楽”は以前紹介したヨークシャービルディングソサイエティというブリティッシュバンドのために書かれた曲であり,したがって,今回の録音は吹奏楽編曲版ということになります.このようにブリティッシュから吹奏楽に編曲された曲は数多くありますが,ブリティッシュの原曲を聴いてしまうと,どこか不自然な部分があってガッカリすることがあります.それは,曲の持つイメージと吹奏楽のサウンドが合わないことと,ブリティッシュのテクニカルな動きを吹奏楽の楽器が構造上こなせないことに起因します.今回の”宇宙の音楽”に関しては,スパーク自身のオーケストレーションが素晴らしいこともありますが,大阪市音楽団のサウンド構築力が素晴らしく,ブリティッシュ版にはない,ダイナミクスの幅とサウンドの奥行きが加わって,この曲のテーマである”宇宙の壮大さ”がより強調されています.また,演奏テクニックも申し分なく,ブリティッシュの原曲と見劣りしない素晴らしい演奏となっています.

 ”宇宙の音楽”は20分近くあって,技術的にも難曲であるにも関わらず,終盤のコラールからエンディングまではよくコントロールされており,感動的なクライマックスを作り上げています.

 また,カップリングの”ミス・サイゴン”は各部の歌いこみが絶妙であり,そこに大阪市音楽団の豊かなサウンドが加わって,大変素晴らしい演奏に仕上がっています.この曲は吹奏楽コンクールの自由曲として大ヒットしている曲ですが,今後,このCDの演奏が”ミス・サイゴン”の良いお手本となることは間違いないでしょう.

 このCDの収録曲はどちらかというと難解な曲が多いですが,大阪市音楽団の高い集中力が聴き手をグイグイと曲に引き込んでいくため,聴き手を飽きさせません.プロフェッショナルの集中力を体感できる,吹奏楽ファン必聴の一枚です.

【このCDの聴きどころ】
・プロフェッショナルの高い集中力で演奏された圧巻の”宇宙の音楽”
・ブリティッシュ版と違い,サウンドの幅と奥行きのある吹奏楽版の”宇宙の音楽”
・コンクールのお手本としても素晴らしい”ミス・サイゴン”



宇宙の音楽<吹奏楽版世界初演ライブ>/指揮:山下一史/大阪市音楽団


posted by ぶちねこ at 15:48| Comment(2) | TrackBack(1) | 吹奏楽のお奨めCD | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月16日

DVDという映像のメリット

 音楽を楽しむ究極のスタイルは生のコンサートを聴くことじゃないでしょうか?

 耳で聴く音楽という最低限のものに加え,演奏家の体の動きや表情といった視覚を刺激する情報,パンフレットを読むことによって入ってくる演奏家のプロフィールや楽曲の解説などの予備知識,体を直接揺らす音の振動など,生のコンサートは膨大な情報量を有している.

 中でも圧倒的な情報量を与えてくれるのは視覚から入る情報でしょう.

 オペラやバレエのように,振り付け等の視覚的要素が無くては成り立たないものでなくとも,視覚的要素が加わることで,演奏家が表現しようとしている音楽の輪郭がよりはっきりとするものです.

 そのような視覚的要素とは具体的には,演奏家の表情,声楽家なら手の動き,弦楽器ならボーイングの緩急,指揮者のバトンの動きなどです.これらは音楽の表現に合わせて必然的に体の動きに現れるものなのです.

 こうなってくると,どうしても音楽と一緒に映像を楽しみたくなりますよね.

 そこで登場するのが,音楽に映像を加えた音楽映像メディアです.以前から,VHS,LDなどの音楽映像メディアがありましたが,再生プレイヤーの普及が進まず,また価格が高かったことから,市場になかなか定着しませんでした.そんな中,登場したのがDVDです.DVDはパソコン,ゲーム機などで再生できることから,改めて再生プレイヤーを購入しなくても良い場合が多く,また,価格もCDより少し高い程度であり購入しやすく,もはや,音楽映像メディアとして定着した感があります.

 こんなDVDという音楽映像メディアの代表的な楽しみ方は次のようなものでしょうか.

【音楽映像メディアの楽しみ方】
・コンサートライブ映像で,自宅にいながらコンサート気分を味わう
・指揮者のバトンテクニックや演奏家の演奏テクニックをアップ映像で見ることができる
・演奏家の表情,動きといった演奏中の演奏家の感情が読み取れる
・場合によっては特典映像があり,演奏家のインタビューなど,オマケを楽しむことができる


 CDという音のみによる音楽鑑賞の楽しみから一歩ステップアップして,DVDで音と映像のクラッシク音楽を楽しんでみてはいかがでしょうか?
posted by ぶちねこ at 15:50| Comment(0) | TrackBack(0) | CDの楽しみ方 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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